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主に音楽と声優について四ツ谷から発信します

ラブライブ!サンシャイン!! の物語を紡ぐ言葉たち 〜テキストマイニングから見るAqours楽曲〜

はじめに

ラブライブ!サンシャイン!!"を1単語だけで表現するなら、どんな言葉を選びますか。」

……あなたの頭には今、一体どんな言葉が浮かんでいますか?

そのどれもが正解で、 "あなたなりのラブライブ!"だと思います。

偉そうな言い方ですが、皆さんが思い浮かべたような数多くの言葉に支えられて、この作品は成り立っているというのが所感です。

ただ、そのようななかでも特に強い言霊やメッセージが込められていそうなのはどんなものなのか。今回はそれを探っていきます。

そんなわけで、この記事では「テキストマイニング」という方法を通してラブライブ!サンシャイン!! の物語を紡ぐ上で、どんな言葉が大切にされているのか」を考えていきます。

 

Contents

 

↓ 前編 ↓

 

ラブライブ!サンシャイン!!テキストマイニング

テキストマイニングとは?

はじめに、テキストマイニングに関して軽くご説明を。

テキストマイニングは、文字列を対象としたデータマイニングのことである。

通常の文章からなるデータを単語や文節で区切り、それらの出現の頻度や共出現の相関、出現傾向、時系列などを解析することで有用な情報を取り出す、テキストデータの分析方法である。

テキストマイニング - Wikipedia

 

テキストマイニング実行中(彼に関しては後述)

 

続いて、この記事において行うことを簡潔にまとめます。

Aqours楽曲の歌詞を語句ごとに抽出

② それらの語句を頻出度別にリストアップ

③より多くの楽曲に渡って使用された語句を「ラブライブ! 性」の高いキーワードとする

Aqoursの楽曲の歌詞で用いられる単語(語句)は、その世界の物語を紐解く上での「キーワード」とも言えます。

抽出された語句が多くの楽曲に渡って用いられているほど、物語における重要な役割や特性を示す言葉だと考えられます。

Aqoursの物語を紡ぐ上で大切にされている言葉とは、一体どのようなものなのでしょうか?

また、プロジェクトラブライブ!において全ての楽曲の作詞を手がける畑亜貴先生は、一体どのような想いをAqoursの楽曲に込めたのでしょうか?

 

テキストマイニングの前例

今回の検証は μ's の楽曲で既になされております。

(他のブロガーさんが制作されたため、今回の記事で使用されたソフト等は異なります)

劇場版公開後の2015年夏に公開された記事であり、検証楽曲の数も豊富で、内容の非常に読み応えのあるものでした。

特に、「もっともラブライブ!らしい曲は?」の項目では、複数の楽曲に渡って使用された単語を含む数の多さで、「一番μ'sっぽい楽曲ランキング」が紹介されています。

非常に興味深いものですので、併せてお読みいただけると幸いです。

 

検証における条件

以下の条件を踏まえて検証を行いました。

  • 2017年1月10日現在フルサイズで販売/配信されている全28曲を検証
  • CYaRon!, AZALEA, Guilty Kissを含めユニット楽曲等全て一括で検証
  • 歌詞は うたまっぷ の掲載内容に準拠したものを使用。未掲載の「Daydream Warrior」等のBlu-ray撮り下ろし楽曲に関しては執筆者独自で手打ちし、テキストファイルを作成。
  • "うたまっぷ"掲載の歌詞のテキスト化には、同サイトの内容とリンクした Lyrics Master を使用
  • 語句の抽出と分析には MeCab を、辞書には"mecab-ipadic-neologd"を使用
  • 動詞は全て原型で集計/表記
  • データ集計の際には歌詞/歌詞を全てひらがなに直したデータの2つを用いる

※あくまでも個人が趣味の範囲で行った検証ですので、分析結果の誤り等はご容赦ください。内容、それに伴う不備に関しては全て執筆者に帰属致します。

 

Aqours楽曲を検証してみよう!

手順1

こちらが「全28曲に渡りその語句が使用された回数」を検証した結果です。

抽出語使用回数 抽出語使用回数 抽出語使用回数
ない 189   わかる 29   想い 19
たい 124   いる 28   どこ 18
から 89   知る 28   待つ 18
てる 75   でも 27   くる 18
する 66   そう 26   17
なる 65   いい 26   my 17
こと 56   踊る 26   i 17
44   night 25   きらきら 16
ある 44   25   なん 16
みんな 40   楽しい 25   hand 16
って 39   よう 24   yaa 12
37   guilty 24   今日 12
キミ 33   ちゃ 23   oh 12
32   in 23   そんな 12
みる 32   ちゃう  23   12

歌詞を分かち書きの後に集計した結果、この時点では語句「ない」をはじめとした、あまり大きな意味を持たない語句が上位に連なっています。

この表でめぼしいものでは「夢」「みんな」などですね。

ここでご覧いただきたいのが中央列の語句「guilty」と「night」です。

これはGuilty Kiss! の「Guilty Night, Guilty Kiss!」のみで用いられているものですが、曲中で繰り返し歌われる部分のため、20回以上のカウントにより頻出語としてランクインされました。

今回はラブライブ! 性を表現する上で、「どの語句が全28曲に渡り広く用いられているのか/共有されているのか」を検証したい故、このテーブルはそこまで重要ではありません。

次のテーブルでは、その語句が1曲中でどれだけ使用されたとしても、"1"とカウントした際の結果を紹介します。この方法によって、どの語句がより多くの曲の間で共有されているのかがわかります。

 

手順2

こちらが「全28曲中その語句が何曲に渡り使用されたか」を検証した結果です。

抽出語使用曲数 抽出語使用曲数 抽出語使用曲数
ない 28   いる 14   じゃ 10
たい 26   楽しい 14   まで 10
する 24   みんな 14   いつも 10
から 24   れる 14   気持ち   9
てる 22   わかる 13   9
なる 21   よう 12   どこ 9
こと 21   知る 12   見る 9
ある 19   それ 12   いい 9
18   12   ながら 9
みる 17   想い 12   ほら 9
16   だけ 12   なんて 9
けど 15   もっと  11   この 9
そう 15   11   いく 9
でも 15   いま 11   くる 9
って 14   その 10   キミ 9

多少順位の変動がありました。

ここで、執筆者自ら修正を加えます。

はじめに、「ない」「たい」などの、歌詞として機能する上でその語句自体に大きな意味を持たないものを省き、名詞、動詞、形容詞、副詞を残します。

次に、歌詞を全てひらがな表記に直し、同じくMeCabで頻出語を抽出したデータと先程のものを照らし合わせ、適宜修正します。

抽出語使用曲数 抽出語使用曲数 抽出語使用曲数
ない 27   こころ 15   その 10
たい 25   って 14   いい 10
から 24   みんな 14   だれ 10
こと 22   きっと 13   いつも 10
てる 20   なっ 13   じゃ 10
たら 20   なる 13   なら 10
とき 18   きもち 13   まで 10
18   それ 12   なんて 9
ゆめ 17   たく 12   この 9
ある 15   だけ 12   どこ 9
そう 15   おもい 12   ほら 9
でも 15   よう 11   なん 9
きみ 15   もっと 11   9
いま 15   みらい 11   ながら 9
けど 15   いっしょ 10   ちゃう 8

上図がひらがなで「全28曲中その語句が何曲に渡り使用されたか」を検証した結果です。

 

この段階で、何故ひらがな表記のデータとの照らし合わせが必要だったのかを説明いたします。

例えば、「夢」「ユメ」と表記に揺れがある場合、先程のデータでは全て別々に集計され、正しいデータが得られません。ひらがなで「ゆめ」として集計を行った上で、より正確な結果を確認して修正をします。*1 *2

最後に、日本語的側面よりデータを修正します。こちらは本筋と逸れるため、注釈にて説明致します。*3

 

検証結果

こちらが「全28曲中その語句が何曲に渡り使用されたか」を検証し、適切な処理を加えた結果です。

抽出語使用曲数 抽出語使用曲数 抽出語使用曲数
17   いっしょ 10   できる 8
キミ 15   10   どんな 8
いま 15   いつも 10   8
こころ 15   どこ 9   行く 8
みんな 14   見る 9   信じる 7
楽しい 14   自分 8   元気 7
わかる 13   わたし 8   探す 7
きっと 13   言う 8   ずっと 7
キモチ 13   気づく 8   これから 7
知る 12   熱い 8   7
12   待つ 8   大好き 7
想い 12   今日 8   言葉 7
未来 11   明日 8   踊る 7
11   笑う 8   7
もっと 11   なに 8  

7

全28曲中、最も多く使用された言葉は「夢」でした。

続いて、「キミ」「いま」「こころ」「みんな」「楽しい」が上位5位にランクインしております。

 

所感

f:id:esora333:20170226050328j:plain

「夢」「みんな」「楽しい」といった語句は、特にラブライブ!性の高いものではないでしょうか。

…と言ったところで、あまりにも説明不足ですよね。

あなたが思う「ラブライブ!らしさ」と「ラブライブ!サンシャイン!! らしさ」 とは一体どのようなものでしょうか?というテーマのもと、今回の結果を受けた上で所感を書いてみたのですが、思った以上に長くなってしまいました。

実際にAqoursやμ'sの前例を通して考えていきたいと思っておりますので、次回以降の記事も何卒。

 

Aqoursのキモチが詰まった楽曲

μ'sの方の記事の先例に倣い、この記事でも「もっともAqoursっぽい曲はどれか」を検証します。

検証方法は単純で、「全28曲中その語句が何曲に渡り使用されたか」(修正前) の検証データを参考に、頻出語上位150位にランクインしたもののうち、1曲中にどれだけ多くその語句を含んでいるかを調査します。*4

 

検証結果 

第10位 (46語)

ハミングフレンド - Aqours

作曲: 桑原聖  編曲: 酒井拓也 

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第9位 (48語)

Waku-Waku-Week! - 津島善子 国木田花丸 黒澤ルビィ

作曲: ラムシーニ  内田陽悟   編曲: 小高光太郎  ラムシー二

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第8位 (49語)

Aqours HEROES

作編曲: 渡辺和紀

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第7位 (51語)

恋になりたいAQUARIUM - Aqours

作曲: 佐々倉有吾  編曲: 渡辺和紀 

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第6位 (52語)

ダイスキだったらダイジョウブ!

作編曲: 高田暁

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第5位 (53語)

未熟DREAMER - Aqours

作編曲: 渡辺和紀

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第4位 (56語)

Pops heartで踊るんだもん!

作編曲: 高田暁 

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第2位 (57語)

ユメ語るよりユメ歌おう

作編曲: 山口朗彦 

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君のこころは輝いてるかい?

作曲: 光増ハジメ  編曲: EFFY

f:id:esora333:20170107111001j:plain

第1位 (58語)

青空Jumping Heart

作曲: 伊藤翼  光増ハジメ  編曲: EFFY 

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現状もっともAqoursっぽい曲として150語中58語を含んだアニメオープニングテーマ青空Jumping Heartが第1位に輝きました。

以降、1stシングル君のこころは輝いてるかい?アニメエンディングテーマユメ語るよりユメ歌おうが150語中57語を含み、2位にランクインしました。

所感

検証の結果、1stシングルやアニメのOP/EDにラブライブ!性の高い言葉が多く用いられていることがわかりました。

1stシングルとはアーティストのファーストインプレッションを与えるものです。それはμ'sの例に紛れずAqoursでも同じことでした。

この楽曲に多くのラブライブ!性を纏った言葉が用いられていることより、プロジェクトラブライブ!というコンテンツのポイントが当時既に押さえられ、現在もその初志を貫き通していることがわかります。

そして、アニメのOPやEDとは「作品の顔」とも言えるものです。そのような楽曲陣にもラブライブ!性の高い言葉が用いられているのは非常に納得がいきます。

また、上位に9人が初めて揃った節目の楽曲「未熟DREAMER」がランクインしたことも併せ、「なるべくしてなった結果」とも表現できますね。

ブログという形式のせいか、私の言葉をうまくまとめきれませんでした。

この結果を受けて下の項目で紹介させていただく友人と、ラフな言葉で表現すれば「マジ本質的すぎてヤベェな」と夜中にSkypeで盛り上がっていました。

ランキング上位に「青空Jumping Heart」「君のこころは輝いてるかい?」「ユメ語るよりユメ歌おう」が並んでるの、普通にグサッと来ないですか?

 

Special Thanks

今回の記事の制作にあたり、とんどる (@tondol) くんには大変お世話になりました。

草稿当時、KH Coderを用いて検証を行う旨を伝えたところ、小学5年生の算数で数字の世界に躓いてしまった私に対し、データ分析の協力、そして素晴らしい結果を提供していただきました。

この場を借りてお礼申しあげます。ありがとうございました!

今回のテキストマイニングに使用されたシステムは以下で公開されているとのことです。

Aqoursの歌詞に含まれる単語の頻度を調べる · GitHub

 

彼が以前制作されたラブライブ!に関する記事も大変読み応えのあるアツいものですので、併せて読んでいただければ幸いです。

 

あとがき

いかがでしたか?

どの結果も、非常にラブライブ!サンシャイン!! らしい内容になっていたと思います。

とは言ったものの、ほぼ主観を入れずに書いたため、いまいち人間味の薄い記事になった感は否めませんが……

ポジティブに捉えれば、一部分を除き、良い意味でわりとこざっぱりしたものになったと思います。

あくまでも、端的に検証過程を結果を伝えることに重点を置きました。

次回以降の記事でこの結果を踏まえての所感を綴っていきます。

μ'sと比較する内容ではありませんが、園田海未さんも登場する予定です。何卒。

 

*1:「ユメ」の表記が使用されていたのは「ユメ語るよりユメ歌おう」の1曲のみでした。同表記が使用された曲数が少ないため、先程の歌詞に忠実に抽出をしたデータではランク下位に位置していました。

*2:今回のシステムでは、ひらがなテキストで抽出を行った際、動詞の原形処理が不可能だったため、あくまで参考としてデータを使用しました。名詞に関しては原形処理がないため、表記揺れ修正の際はひらがなでの抽出データを優先。動詞ほかに関しては歌詞の抽出元データを優先しました。

*3:歌詞として機能する上で、その語句固有の意味を持たざるものも存在します。

今回の上位45位には「時/とき」という語句が多く抽出されましたが、この語句には3つの意味があります。

1つ目に「時間」としての機能を表すもの。

2つ目に「そのとき」「あのとき」「〜な時」といったように、現在や過去の瞬間を表す際に遅々として用いられるもの。

3つ目に「〜な(時)ならば」といった仮定を示すものです。

今回は1と2の表現のみを「時」の解釈に当てはまるものとしてランクインさせました。

全28曲中語句「時」が使われたのは17曲。ひらがなでの抽出データの"18"はおそらく「時々」などの歌詞が誤って抽出されたものと考えます。そのなかで、1の定義に当てはまるものは1曲で「ジングルベルがとまらない」のみ。2の定義に当てはまるものは11曲。3の定義に当てはまるものが5曲でした。これは実際に17曲全ての歌詞の文脈における「時」の意味を執筆者自ら確認した結果です。

*4:ひらがな表記でのデータでも同様の検証を行いましたが、動詞の原形変換がなされず不必要な抽出後が煩雑したため、歌詞から忠実に抽出したデータを使用しました。