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向井太一、Gottz(KANDYTOWN)、山崎エリイ……2018年を締めくくるmasawadaさん必聴楽曲5選

 本稿は「masawada Advent Calendar 2018」に寄せたものです。

 masawadaさんとは、約2年前に本ブログを通じて知り合い、何度かお食事をご一緒させていただきました。ただ、まだプライベートなことやお仕事については未知な部分が多いので、今回は音楽の話でお茶濁しをさせていただけますと…。来年からは同じ社会人として、お酒など楽しめますと幸いです。

 今回は年末企画ということで、今年10月以降にリリースされた日本語楽曲をピックアップ。なかでも、masawadaさんに聴いていただき、次回のお話のネタにでもできれば…と考え、全5曲を紹介させていただきます。

 

向井太一「Break up」

作詞:向井太一、作曲:向井太一、CELSIOR COUPE

Co-Produced by ☆Taku Takahashi(m-flo) 

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向井太一『PURE』(通常盤)

 11月28日発売の2ndアルバム『PURE』収録曲。タイトルは、向井がリスナーに対して、“純粋”に伝えたい想いが募っていたが由来とのこと。彼の得意とするR&BAORを主軸に、現代の東京に漂う湿度の高い“空気感”を切り取った傑作。

 「Break up」は、男女の別れを描いた楽曲。その内容に反して、2ステップビートを組み込むなど、ハイテンポなトラックを用意。プロデュースを担当した☆Taku Takahashi(m-flo)が持つ記名性の高さを存分に感じ取れる。また、AメロからBメロに移る際のドライブ感は心地よく、サビ前にクレッシェンドするバスドラムもまた、m-floらしい特徴的なサウンドだ。なお、同アルバムにはmabanua蔦谷好位置をはじめ錚々たるクリエイターが集結。前者による「Haters」、後者との「Answer feat. KREVA」、Chocoholicによる「Ego」など、バラエティに富んだ楽曲が揃っている。

 

Gottz「The Lights feat. Ryugo Ishida, MUD Prod by Neetz」

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Gottz『SOUTHPARK』

 10月17日発売の1stソロアルバム『SOUTHPARK』収録曲。同作は、全編を通じてトラップビート主体としている。そのため、KANDYTOWNがこれまでリリースしてきた作品とは少々異なるイメージとなった。

 「The Lights」は、同クルーのNeetzがビートメイクを担当。ネオン街を思わせる退廃的でメロウなトラックは、アルバムのなかでもアクセントになっている。同楽曲で感じるのは、同じくKANDYTOWNに所属するMUDの立ち回りにおける器用さだ。彼は同クルーのなかでも、数多くの作品に客演として参加するなど経験も豊富。今回担当したフックでは、歌詞の末尾はタイトに韻を落としながらも、全体的には流した歌い方に聴こえるのが彼らしい。

 また、GottzとRyugo Ishidaにも触れておこう。かねてより親交のある彼らは、楽曲を通じて特に相性の良さを発揮した。Ryugo Ishidaに感じる“ロックスター”の佇まいは、ルックスを含め、クルーのなかでも“ドープ”な印象のGottzと重なる部分がある。だからこそ、同楽曲も非常に引き締まったものになったのかもしれない。余談だが、『FNMNL』でのGottzのインタビューは本当に面白いので必読。Lil'Yukichiからのビート提供のくだりはは、思わず爆笑してしまう(参考:【インタビュー】Gottz 『SOUTHPARK』| KANDYTOWNらしさは意識していない)。

 

早見沙織「little forest」

作詞・作曲:矢吹香那、編曲:前口 渉

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早見沙織『JUNCTION』(初回限定盤A)

 12月19日発売の2ndアルバム収録曲。早見沙織は同作に収録された全14曲のうち、10曲で作詞作曲を担当。彼女のシンガーソングライターとしての才能を本格的に打ち出した一枚となった。また、その音楽ジャンルはソウルやジャズを中心にしながらも、楽曲の向いている方向は外交的/内向的まで様々。アルバムを通じて、それらの楽曲を“繋いだ”のは、まさしく“ジャンクション”というタイトルの体現といえる。

 「little forest」は、アルバム終盤に収録されており、作詞作曲を矢吹香那が担当。スローテンポでほのかな陽射しを感じるような、終始に温かみを感じる楽曲だ。なかでも特徴的なのが、中盤から奏でられるジャジーなトランペット。楽曲のアーバンな印象をより前面に押し出すほか、音の厚みが増されることで約3分のミニマルさながらも、高い満足度を得られる一曲となった。そのほか、アルバムでも特にレコメンドしたのは、「メトロナイト」「夏目と寂寥」「SUNNY SIDE TERRACE」「Blue Noir」など。

 ちなみに、「little forest」を聴いて思い出されたのが、放課後ティータイム「いちばんいっぱい」や楠田亜衣奈「アイ・アム」、延いてはThe Beatles「Penny Lane」など。どれも「little forest」に似た、ブリティッシュな雰囲気を感じる楽曲、、、なのかもしれない。

 

Shiggy Jr.「TUNE IN!!」

作詞作曲:原田茂幸

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Shiggy Jr.『DANCE TO THE MUSIC』

 12月5日発売のアルバム収録曲。同作は、<ビクターエンタテインメント>移籍後、2枚目のアルバムにあたる。また、プロデューサーは音楽クリエイター集団<agehasprings>の釣俊輔が担当。全編を通じて、誰が聴いても楽しくなれるような、ダンスポップに振り切った一枚となった。

 「TUNE IN!!」は、日々の“アレコレ”を忘れて、カーステレオやラジオから流れる音楽に身を任せようと誘うパーティチューン。色調の明るいストリングスなども印象深いが、なかでも注目したいのは度重なる“ブレイク”だ。同楽曲では、“キメ”の多さがアニソンとも匹敵するほど。BAD HOPのYZERRに言わせれば、メロディラインを含め“内なるJ”を感じざるを得ない。また、今作でダンスポップに腰を据えたことから、自作の方向性も気になってくる。なお、“内なるJ”に関する詳細は参考記事の紹介で割愛したい(参考:BAD HOP、大ヒット中の新作『Mobb Life』 クルー内の共通言語「内なるJ」とは)。

 

 山崎エリイラズベリー・パーク」

作詞:只野菜摘/作編曲:坂部剛

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山崎エリイ『夜明けのシンデレラ』(初回限定盤)

 11月21日発売の2ndアルバム『夜明けのシンデレラ』収録曲。同作は、前作アルバム『全部、君のせいだ。』から約2年ぶりのリリースとなった。また、山崎エリイは昨年20歳に。今回のアルバムでは、“子供と大人の過渡期”にあるだろう彼女の心持ちを反映するかのように、歌詞の内容や取り扱う音楽ジャンルもほんの少し背伸びを感じる。それを示すのが、タイトルとなった“夜明けのシンデレラ”というフレーズ。“シンデレラの魔法”が解けた瞬間から、自身の力で未来を切り開いていくというアルバムコンセプトは、彼女のアーティストにおける現状とも大きく重なるところがある。

 「ラズベリー・パーク」は、アルバムのラストナンバー。これまで内田彩「ピンク・マゼンダ」などを手掛けてきた、作詞・只野菜摘と作編曲・坂部剛の強力タッグによる楽曲だ。また、驚くべきはその再生時間。一般的なJ-POP楽曲の再生時間は5分ほどに収まるところだが、「ラズベリー・パーク」はおよそ9分弱。既存の声優アーティスト楽曲におけるボリュームを大幅に超えている。

 単発的なピアノの打鍵から始まる同楽曲は、ベースやギターはもちろん、中盤に可愛らしいマリンバや鉄琴の音色を重ねる。その後は、エレクトロニカを交えて落ち着きを見せつつも、終盤にはブレイクコアやポストロックを意識したサウンドで、重圧なサウンドに変貌。それに伴い、山崎の歌う歌詞も〈ようこそ ようこそ ようこそ〉とシンプルに。まさに“夜明け”の時間帯を思い起こさせるような、ぼんやりとした陶酔感を感じさせる。また、山崎の歌声が徐々に“神聖さ”を纏っていくのには、コーラスを何層にもダビングしていることに理由があるのだと思われる。

 「ラズベリー・パーク」の類まれなトラックと楽曲ボリュームからは、彼女と制作スタッフがさらに実りある音楽活動を目指していることが想像できた。今年リリースされた声優アーティスト楽曲のなかでも、間違いなく指折りな一曲だ。

 

乃木坂46「帰り道は遠回りしたくなる」

作詞:秋元康 作曲:渡邉俊彦 編曲:渡邉俊彦、早川博隆 

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乃木坂46『帰り道は遠回りしたくなる』(TypeA)

 最後に、宗教上の理由(与田祐希ちゃん…)から、もう一曲だけ紹介したい。それは、11月14日発売の22ndシングル『帰り道は遠回りしたくなる』表題曲。同作は、年内でグループを卒業する西野七瀬にとって最後のシングルとなった。

 「帰り道は遠回りしたくなる」は、別れに際する寂しさを、“強くなる”ために踏み出す一歩として前向きに捉えた楽曲だ。楽曲を通じて奏でられる透き通るようなストリングスが印象的なのだが、特に耳に残るのはBメロ終盤の譜割り。〈僕の夢は ここではないどこかへ〉という一節の1番では、〈ここ・では・ない・どこ・かへ〉といったように歌唱。ここまでの歌い回しと異なり、3連符かつ最終拍に休符をあてている。これは、最新トレンドのヒップホップにも通ずるもので、面白い試みだ。もちろん、このような細かな要素を抜きでも素晴らしい楽曲だ。しかし、「乃木坂46には良い楽曲が多い」と謳われる背景には、今回のようなギミックがあるのかもしれない。

 

 2018年は、ポップスからヒップホップ、声優アーティスト楽曲まで、数多くの喜びと驚きを感じられた一年になりました。来年もまた、実りある文化的な生活を過ごしていきたいものです。そしてmasawadaさん、2019年もどうぞ宜しくお願いいたします。